「検体検査室の日常~検査室あるある2~」を公開しました
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検体検査室の日常~検査室あるある2~

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ぺんさん
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検査室の日常ってどんな感じなのかな・・・どんなことが起きているのかな・・・?

病院の検査科では、日々いろいろなことが起こります。
「こんなことありえない」とか「こんなの見たことない」と言いたくなるようなことも起こります。
機器の故障やシステムのトラブルなどについてはすでに取り上げていますが(検査結果の遅延システムが停止したら・・・)、ここでは、日常の中での出来事を綴ってみようと思います。

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血液ガスの検体は、速やかに測定することになっています。止むを得ず保存する場合、プラスチック製シリンジの場合は室温保存が一般的ですが、以前ガラス製が使用されていた時には、氷冷保存が推奨されていました。

ある時、血液ガス検体を受け取りました。測定のため攪拌し、最初の1滴~2敵を捨てようした時です。シリンジを押そうとしても動きません。どう頑張ってもシリンジは微動だにしません。これは完全に凝固しているのか、と思った時です。赤色の液体が少し出てきました。でも中にはまだ「不動の塊」があります。

実は検体が凍っていたのです。「すぐに測定できない時は氷冷する」という注意事項を守ろうと思った病棟スタッフが、氷冷→冷凍庫という思考のもと、冷凍庫に検体を入れてしまい検体が凍結されてしまったということです。もちろんこの検体は測定不能となりました。

その検査を担当している臨床検査技師にとっては当たり前のことでも、他のスタッフにとっては当たり前ではないことがあると思います。氷冷することと冷凍庫に入れることは異なります。しかし、「冷たくすれば良いのだろう」という理解の場合、このようなことが起きるのではないかと考えられます。

アンモニア測定用の検体が、大きな氷とともに提出されました。アンモニア測定用の検体は、「採血後速やかに氷冷して提出」となっています。そこで、病棟スタッフは、コップに氷を2個~3個入れてそこにアンモニア測定用採血管を立てて提出してきたのです。また、クラッシュアイスの上に載せられた検体を見かけることもあります。

氷冷なので、「氷で冷やせば良い」という解釈のもと、氷と共に搬送することは間違いではないのかもしれません。しかし、「検体を冷やす」という観点から考えると、氷に水を少し加えた「氷水」に浸す方が冷却効率が良いことは、容易に想像できるのではないでしょうか。クラッシュアイスを使用する場合も、上に載せるのではなく、やはり水を少し加えるか、せめて少し埋めていれば、冷却効率は良くなると思います。しかし、「氷に添えられた」あるいは「上に載せられた」検体を見かけることは少なくないように思います。

検体提出時の注意事項は、各施設で、様々な形で検体採取をする部署に伝えていると思います。この時、当然のことながら、誰もが分かり易い表現で説明することが重要です。教科書通りの表記や「臨床検査技師の常識」に囚われることなくすべてのスタッフに分かり易い表現を心がけることが大切だと思います。

血算と生化学の検体が同時に届きました。それぞれの担当検査技師が、測定を始めました。このような場合、たいてい血算の測定が先に終わります。この時も、血算の結果がでましたが、ヘモグロビンの値がかなり低く、担当医師に連絡をすることになりました。

すると医師からは「そんなはずはない」と。それでは再採血をしましょうということになり、再度検体が提出されました。今度は基準範囲内のヘモグロビン値です。そこで、最初に血算の検体と同時に提出された生化学の検体を確認したところ、とても貧血とは思えない検体でした。

この検体はシリンジ採血で採取されたものでした。おそらく、シリンジ採血をし、いったんそのシリンジを静置した後、混和せずに血算と生化学の採血管に分注したのでしょう。静置したことによってシリンジ内で血球が沈んで濃度勾配が生じ、そのまま混和せずに分注したため、先に分注した血算の検体は血球濃度の薄い部分、その後分注した生化学の採血管には残った濃い部分が入ったのだと考えられます。

臨床検査技師が採血を行う場合は、真空採血が多いと思います。真空採血では、ホルダーを使用して採血管に直接血液を採取します。また、シリンジ採血になったとしても、採血室等ではすぐに採血管に分注するので、採血後にシリンジを置いてしまう、という状況は分かり難いかもしれません。

施設の事情もあると思いますが、病棟などでは、採血後の処置などを考慮して、シリンジ採血をする場面は少なくないと思います。この場合も、直ちに採血管に分注することが原則ですが、止むを得ず、いったんシリンジを置いてしまうこともありますこの時、短時間だから問題ないと思われるかもしれませんが、実はシリンジ内で濃度勾配ができてしまうことがあります。分注前にシリンジ内を確認すれば分かることだとは思いますが、そのまま分注してしまい、均一ではない検体ができてしまうのです。

検体を提出する時には、バーコードラベルを貼付しなければなりません。これは多くの施設で行われていることだと思います。しかし、この大原則が守られないことがあります。

少し前の話になりますが、研修医に検体提出の際の注意を説明していた時のことです。「検体には必ずオーダーバーコードラベルを貼って提出してください」というと、一人の研修医が、「急変した患者の蘇生処置中にラベルを貼るなんてできないよ」と。そこで再度、「先生が貼ることができなければ、その場にいる他のスタッフに貼ってもらってください。私たちはラベルのない検体は受け取りません」と説明しました。

このような考え方をするスタッフは、少なくなっているのではないかと思いますが、それでも、ラベルのない検体が提出されることは少なくありません。外来の採血室では、問題は少ないと思いますが、病棟などで採取する場合、ラベルを貼付していない検体が発生してしまうことがあります。

多くの施設では採血管準備システムが導入されていると思います。病棟の予定の採血の採血管は、前日に準備され、病棟に届けられます。これをそのまま使用すれば、ラベルのない検体ができるはずはありません。しかし、実際には予定外の検体採取は少なくありません。また、何らかのトラブルで用意された採血管を使用せず、別の採血管を使用することもあります。このような時に、ラベルを貼付しないまま検体が提出される事態になり易いと考えられます。

ラベルのない検体をスタッフが持参し、受け取る側もすぐに対応した場合は大きな問題にはなりません。その場でラベルを出力できる立場のスタッフであれば、そのように対応していただきますし、搬送のみを請け負っているスタッフの場合は、事情を説明して持ち帰っていただくことになります。

気付かない間に置いていかれた検体や、検体搬送システムなどで送られてきた検体にラベルがない場合は、悲しいことになります。置いていったスタッフや、検体搬送システムに載せたスタッフが特定でき、かつ、そのスタッフにラベルを貼らなかった自覚があれば、救済することも不可能ではありませんが、多くの場合はラベルのない検体は検査することはできません。名前がなく、採取したスタッフの手を離れた検体は、基本的に「誰のものかわからない検体」となり、廃棄となります。

新生児用の「微量採血管」という小さな採血管があります。これは容器が小さいため、バーコードラベルを貼付することが難しいのですが、検体として提出する以上ラベルは必須です。しかし、貼付されないことが少なくありません。こども病院ではあるあるの事例だと思います。

また、1本では量不足になるからと2本、3本採取して、それらを輪ゴムでまとめてラベルを1枚つける、という荒技に出る強者もいます。「輪ゴムでまとめる」という行為は通常の採血管でも行われることがありますが、輪ゴムが取れるとバラバラになってしまいますそれぞれにラベルが貼付されていなければ、「名前のない検体」出来上がりです。

こういった事例に対しては、必ずバーコードラベルを貼付すること、複数本採取したなら、必ずそれぞれにバーコードラベルの貼付、もしくは何らかの形で記名すること、などを、毎回説明することになります。以前は、受け取った検査科で、バーコードラベルを作成したり記名したりすることもありました。しかし、本来、検体を採取した側が、責任をもって記名すべきです。バーコードラベル、もしくは記名したラベルを採取側で貼付し提出するように、毅然と説明したいものです。

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検体検査をある程度経験した臨床検査技師であれば、このようなことは経験があるかもしれません。施設の状況によっては経験しない事例もあるかもしれませんが、経験年数を重ねていると、そんなこともあるかも、と考えられるのではないかと思います。

今回は、検体提出時の困りごとをいくつか取り上げました。どのようなことでも、1度でも経験したことがあれば冷静に対応できると思います。しかし、予備知識なく初めて遭遇すると、どうしたものかと固まってしまうこともあるかもしれません。また、検体の保存についても、ラべルの貼付についても、その意味が正しく理解できていないと、予期せぬ事態に直面にした時、正しい対応はできないと思います。

検体の保存方法などは、検査科としては当然のことであっても、他のスタッフにとっては、その意味が理解できない場合もあるかもしれません。「検体にはラベルを貼付する」という当然で大切なルールも、軽んじられている場面少なからず見受けられます臨床検査技師としては、丁寧に向き合っていくことが重要なのだと思います。

「経験しないとわからない」ということはあると思います。でも、話を聞いておくだけでも、急な時の助けになることはあると思います。つまらない昔話と思わずに(必ずしも昔話ではありませんし)経験者の話も聞いておくと良いのかなと思います。実際に経験することは大切ですが、施設の状況にも依りますし、一朝一夕にはいかないものです。いろいろなことが起きるのだということは、知っていて損はないのではないかと思います。

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検査室の様子については次の記事にも書いています。

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本記事は診断や治療を目的としたものではありません。あくまでも臨床検査に対する理解を深めていただくための情報や知識の提供の場です。疑問や不安がある場合は必ず医師にご相談ください。

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