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検査結果が届かない時~検査室あるある4~

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ぺんさん
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結果を連絡し忘れるなんてないよね・・・?

検体検査の検査結果は、多くの場合、検査システムを介して電子カルテに送信されます。したがって、通常は検査結果が届かないということはないと思います。しかし稀に、医師に直接伝えるべき結果が連絡されない事例が見受けられます。どのような状況でそのようなことが起きるのか、考えてみます。

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検査が依頼されて検体が届くと、検査を実施して結果を報告します。最近では多くの施設でシステム化が進んでおり、電子カルテ、検査システム、検査機器などが連携しています。検査が終了して結果を確認して登録作業をすると、電子カルテ上で結果を閲覧することが可能になります。一連の作業の中でトラブル等が発生していなければ、検体の受領から結果報告まで、ほぼ一定の時間、30分から60分程度で行われます。

以前、紙の検査依頼伝票を医師が書いていた頃は、検査科も手作業が多く、検査そのものも時間を要するものが多かったので、翌日以降の報告ということも珍しくありませんでした。検査科に自動分析機が導入されると、検査科内のスピードは格段に速くなったので、当日中に結果報告することも可能となりました。しかしいずれにしても、正式な報告書が医師のもとに届くまでには時間を要していました

電子カルテシステムが導入される前は、「紙の報告書を印刷して、各科充ての所定の場所に置き、それを係りの人が取りに来て紙カルテに貼付する」といった流れで検査結果が報告されていました。より早く医師が確認した方が良いと思われる結果があった場合には、報告書を出力する前に電話などで伝えていました。

電子カルテが導入されると、当然、検査科内もシステム化が進んでいるので、結果報告のスピードは格段に速くなりました。しかし、すべての結果を瞬時に医師が確認するわけではありません。医師が閲覧することが可能だというだけで、いつ確認するかは医師や診療の都合に因ることになります。したがって、速やかに医師が確認した方が良いと思われる結果がある場合は、何らかの形で医師に伝える必要があります

病院での検査は、ただ正しく検査をすれば良いというだけではなく、結果がきちんと診療に反映されるべきだと思います。これは、必要な情報を、必要なタイミングで提供しなければならないということだと思います。検体検査は、多くの場合、どれだけ時間がかかっても良いというものではない、と考えられています。診察前検査が多くなったことが大きく、通常の項目であれば60分程度での結果報告が求められています。

したがって、通常の検査であれば、60分経てば医師は結果を知ることができますが、それよりももっと早く、医師の耳に入れた方が良い結果もあります。いわゆるパニック値と呼ばれる結果などです。パニック値とは「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値で直ちに治療を開始すれば救命しうるが,その診断は臨床的な診察だけでは困難で検査によってのみ可能である」とされています。つまり緊急に報告しなければなりません。これは、システムが入って、短時間で結果を確認することができるようになっても、変わりません。👉パニック値[検査結果の判定2]

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いわゆるパニック値と呼ばれる結果は、緊急で報告しなければなりません。また、パニック値ではないが、医師に早急に確認してもらった方が良いと思われる結果もあります。このような結果の報告方法は、施設ごとに取り決めがあると思いますが、医師のPHSなどにコールして伝えることが多いと思います。

連絡をしようとした時、すぐに主治医や提出医が対応してくれれば、つまりPHSに出てくれれば、問題なく伝えることができます。しかし、医師は、たとえば処置中などで出られないこともあります。この時、代わりのスタッフが対応してくれれば伝えることができますが、誰も出てくれないことも、経験的には少なくありません。そうすると、担当検査技師は、結果を聞いてくれる人を探すことになります。

施設によっては、緊急の報告を伝えるべきスタッフの順番を決めているところもあるようです。主治医、もしくは提出医が第一ですが、そのあとは、受診科または病棟の看護師、同じ科の医師または上席医など、施設の事情によって決められていると思います。明確な取り決めがない場合も、状況に応じて、これらのスタッフに連絡することになります。

電子カルテ導入前は、正式報告書を出力する前の場合、仮報告書として結果を印字し診療科などに手渡す、ということもしていました(一般的ではないかもしれませんが)。紙のカルテの場合、カルテ上で検査結果を確認できるのは、報告書がカルテに貼られた後です。早く確認した方が良いと思われる結果の場合は、仮報告書を見ていただくのが確実な方法でした。口頭での連絡は、複数の項目の結果を伝えるには望ましくないとも考えられます。言い間違い、聞き間違いが起こる可能性があるからです。

パニック値の場合は、口頭で伝えることが多いと思います。もちろん、言い間違い、聞き間違い等のインシデントが起きる可能性がないわけではありません。しかし、多くの場合、1項目の値を伝えれば良いこと、とにかく早く医師に伝えることが重要であること、などから、PHSなどを利用する方法が取られます。

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医師に伝えるべき結果が伝わらない事例が稀に起きています。特にパニック値とされるような結果については、必ず医師に伝えなければなりません。しかし、実際にはさまざまな状況のもとで、結果的に「伝えていなかった」という事例が起きることがあります。

異常値だと認識した場合、通常、再検査を実施します。測定上の問題がないことを確認する必要があるからです。同時に、検体に問題ないことも確認します。ただし、緊急を要すると思われる結果の場合は、その限りではありません。検体の名前等の確認、フィブリン析出がないこと、などの最低限の確認をして、医師に、再検前あるいは再検中であることを断った上で、その結果を伝えます。もちろん再検査は早急に行い、万が一結果に相違があった場合は、その旨を連絡することになります。

再検査を行っている途中で連絡をすることを失念してしまう事例があります。これには、さまざまな理由付けがされます。忙しかったから、他の検体の対応に追われていた、問い合わせが立て続けにきた、などです。また、当直時間帯の出来事で、再検査中に交替時間になり、自身で連絡することも引き継ぐこともせず、そのままになった事例もありました。

緊急に連絡すべき結果だと判断したのであれば、責任を持って連絡しなければなりません再検査を優先するか、連絡を優先するかという点については、臨機応変な対応が求められると思います。測定機器は、イレギュラーが絶対ないとはいえません。通常は、もちろん正確な測定をしていますが、常に100%大丈夫だということはなく、だからこそ、さまざまな方法で確認をとりながら結果を報告しています。

カリウムの結果が 8.0 mEq/L 。これはパニック値です。速やかに結果を連絡すべきです。しかし、その検体に溶血が認められる場合、どうでしょう。溶血はカリウムの結果に正誤差を与えることは知られています。検体に溶血がある場合は、正しい結果ではないと考えます。しかし、だからといって緊急連絡の必要はないでしょうか。溶血検体でカリウム 8.0mEq/L の結果に対して、「溶血のため参考値」とコメントを入力して緊急連絡はしなかったという事例がありました。

溶血は検査結果のさまざまな影響を与えます。したがって、再採血が推奨されます。実際には、溶血の程度や患者様の状況、その他、医師の判断によって、再採血の可否は決められます。検体が溶血していた場合の対応が、きちんとルール化されている施設もあるかもしれません。しかし、画一的な対応が通用しない場合もあると思います。

カリウム 8.0mEq/L の検体が溶血していたからといって、その患者様の真のカリウム値が、基準範囲内だと判断することはできません。溶血の影響を、見た目から評価することはできないからです。この患者様のカリウムの値は、基準範囲上限の 6.0 mEq/L かもしれませんが、パニック値の 7.0mEq/L かもしれません。したがって、溶血していたとしても緊急連絡はすべきだと考えられます。もちろん、伝え方には工夫が必要で、カリウムが 8.0mEq/L だということと同時に、検体に溶血が認められることを明確に伝えることが必要です。溶血の影響がどの程度かと問われた場合は、溶血の程度は伝えることができますが、結果にどの程度の影響を与えているかはわからないと答えるべきでしょう。

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紙カルテだった頃は、検査結果は紙の報告書でした。報告書の出力は多くの場合、原則として夕方に1回、多くても昼前と夕方の2回程度だと思います。至急で結果が欲しい場合は、仮報告書と呼ばれるものを印刷するなどして対応していました。医師は、これらの報告書によってのみ、結果を確認することができました。外来の診察後検査の場合、医師が結果を確認できるのは次の外来の時になります。報告書を手にする前に、どうしても知りたい結果がある場合は、電話などで問い合わせをして確認していました。

生化学検査の担当をしていた頃、外来の診察後検査の検査結果で、前回値との変化が気になるものがあると、仮報告書を印刷して外来に届けていたことがありました。(一般的ではなかったかもしれませんが。)その中には、患者様が受診科に呼び戻される事例も時々ありました。医師が想定していない悪い結果で、早い対応が必要と判断されたのかと思います。こちらから連絡しなければ、次の外来まで放置され、対応が遅れることになったかもしれません。 このような事例は、パニック値でなくても、早急に報告すべき結果、報告した方が良い結果だったといえると思います。

電子カルテシステムが導入されてからは、医師は、報告書の印刷に縛られることなく、検査結果を確認することができるようになりました。しかしそれでも、外来患者様の検査の場合は特に、こちらからアプローチしないと、次の外来まで確認されない場合も多いと思います。そういう意味では、早急に連絡すべき結果というものはあると考えられます。

パニック値の場合、どのような理由があっても、「報告をしない」という選択肢はあり得ません。できるだけ速やかに提出医または主治医に連絡しなければなりません。パニック値は生命が危ぶまれるほど危険な状態であることを示唆する異常値だからです。

パニック値は、本来は分析前過誤や検査過誤による異常値とは区別されるべきです。しかし、たとえばその要素を除外した時、その検体が異常値ではない保証はできないと思います。溶血していてカリウム異常高値の検体が、溶血していなかったら基準範囲内の値だとは限らないということです。

採血時に輸液が混入した場合、カリウムやグルコースなどの一部の項目で、異常高値が認められることが知られています。しかし、検体を見ただけでは輸液が混入していることはわかりません。グルコースが 1000mg/dL といった値を見ると、「輸液混入」が頭をかすめます。輸液の混入であれば患者様の生命が危ぶまれることはないわけです。しかしだからといって、その結果を通常の報告ルートに乗せてしまうのは間違いだと思います。もちろん検査過誤でないことの確認は必要ですが、とりあえず、医師に一報を入れるべきだと思います。

同時に提出された他の検体の状況から、輸液の混入が強く疑われる場合があります。例えば、生化学の検体のグルコースが 1000mg/dL、同時に提出された血算のヘモグロビンの値が、前回値と異なる異常低値だったような場合、輸液による影響が考えられます。しかし検査科では、患者様の真の状態はわかりません。したがって、やはり医師には早急な結果報告が必要だと思います。

検査結果は、正しく報告されなければ意味がありません。どんなに丁寧に正しい検査をしたとしても、きちんと報告されなければ臨床検査として成立しません。「正しく報告する」ということは、単に電子カルテで閲覧可能になれば良いということではありません。緊急性があるものは緊急に、そうでない場合も、適切な時間内に報告しなければなりません。

例えばパニック値に対して、再検査をきちんと行って検査過誤がないことを確認したとしても、緊急で医師に伝えなければインシデントとなります。電子カルテシステムが導入されて、報告書の出力忘れや紛失などはなくなりました。結果の送信作業さえ行えば、即座にカルテ上に反映されます。自動で送信されるような設定がされている場合もあります。しかし、緊急性を判断して適切な対応ができなければ、患者様の生命を脅かすことにもなりかねません。(👉インシデントが起きる時~検査室あるある3~

溶血や輸液の混入など、検査前の過程に起因した異常値だと結論付けることができるのは、検査科の臨床検査技師ではないと思います。検査科で判断できるのは検体が溶血している事実のみです。得られた結果に溶血が影響している可能性があることや、周辺の状況から輸液の混入が疑われることを指摘することはできます。しかし、その影響がなければその結果は基準値範囲内だとは言い切れないはずです。

検査科の仕事は患者様の検体について臨床検査を行い、診療に有用な情報を届けることです。診断をするのは医師であって、臨床検査技師ではありません。正しい検査を実施しなければなりませんが、そこには適切に報告することも含まれます。

結果の誤りはあってはなりませんが、正しい検査ができていたとしても、適切な報告ができなければ、正しく検査が完了したとはいえないのです。そしてこれは原則として、新人であってもベテランでも、検体検査担当者でも、当直帯のみ携わっているのだとしても、関係ないのだと思います。自分が担当した検査については責任をもって完了すべきといえるでしょう

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パニック値については次の記事で説明しています。

溶血については次の記事で取り上げています。

インシデントについては次の記事を確認してみてください。

本記事は診断や治療を目的としたものではありません。あくまでも臨床検査に対する理解を深めていただくための情報や知識の提供の場です。疑問や不安がある場合は必ず医師にご相談ください。

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