「機器の点検」を公開しました
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機器の点検

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ぺんさん
ぺんさん

測定機器って点検をしているのかな・・・

どんなに小さな機器でも、点検は必要です。その内容は、清掃や調整、消耗品の管理・交換、定期的な部品交換など、内容は多岐にわたります。
正確な検査結果の担保のため、測定機器の点検の実施は法律でも定められています。
どのように点検が行われているか考えていこうと思います。

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点検は、ユーザー、つまり担当する臨床検査技師が実施するものと、その機器のメーカーの専門の技術者が行うものに大別されます。
ユーザーが行う点検は、比較的煩雑ではない点検です。毎日、あるいは週1回、月1回など、頻度がある程度決められていて、所要時間も10分程度から長くても60分程度でしょうか。それほど大規模な点検ではありません。消耗品の定期的な交換も含まれます。

メーカーの技術者が実施する点検は、保守点検と呼ばれ、ユーザーでは実施困難な、高度な技術を要するものも含まれます。年に1回から4回程度実施するものが多いと思います。点検の所要時間は2時間程度から7時間、8時間かかる場合などさまざまです。点検の頻度の決定には、その測定機器の規模など機器の事情だけでなく、施設の事情も少なからず影響します。点検には相当な額の費用が発生するため、施設の予算的な事情がどうしても絡んでくることになるのです。近年は点検の必要性が広く認識されるようになり、予算的な面は改善されているように思います。

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ユーザーによる点検は、機器の添付文書、操作説明書などで、毎日、毎週、毎月などの頻度と内容が定められています。主な内容は、機器各部の清掃、消耗品の定期的な交換です。どのような機器でも1日使用した後は清掃が必要です。機器に搭載されているシステムに、清掃関連のメニューがあるものも多くなっています。最近では、機器の清掃メニューのみで、人の手による清掃は不要と言っている機器もあるようです。しかし、1日に1回程度は機器を目視で確認することも大切かと思います。

点検は、点検そのものの目的を達成することがもちろん大切ですが、簡易な点検でも、それを実施しながら機器を観察することが重要だと思います。たとえば、汚れの付き方をとっても、普段と異なる場所が汚れている、普段と違う色の汚れが付着している、などは、汚れていること以上に、その汚れが発生した、あるいはそこに汚れが付いた原因が、機器の不調のサインかもしれないのです。

例えば、普段とは異なる場所が汚れているということは、そこに汚れを飛ばす要因、例えばプローブや洗浄機構などの不具合がある可能性があります。普段とは違う色の汚れは、試薬の漏れ、試薬プローブの不具合、などの可能性が考えられます。このように、毎日観察することで、僅かな不調を見つけることができる場合があるのです。

もちろん点検時でなくても気付く機会はあります。また、いろいろな考え方があると思います。しかし、清掃や点検をしながら機器を観察することを習慣にすることは、大切なことだと思います。また、ユーザーが実施する点検は、清掃だけでなく消耗品の交換などもあり、機器の構造をある程度理解することが求められます。定期的な点検は機器の管理上必要なことですが、ユーザーにとっても、機器の理解を深める良い機会になるのです。

機器の規模などによって異なりますが、多くの自動分析装置では、年に1回から4回程度、メーカーの技術者による保守点検を実施します。点検内容はさまざまで、2時間から3時間程度で完了する場合から、7時間、8時間、あるいは12時間程度と長時間を必要とする場合もあります。ユーザーでは対応できない専門的な技術を要する作業を行います。

メーカーの技術者による点検は、業務終了後、夜間に実施されることが多いと思います。長時間機器を停止することになるので、日中の測定の合間などに行うことは困難です。ただこれは検査室の事情によるものが大きく、日中でも実施可能な状況の施設もあると思います。

点検する機器と同じ項目を対応可能な機器を、複数台所有している場合は、点検の実施時間について試行錯誤することは少ないと思います。例えば普段2台体制のところ1台を止めると、他の機器の負担は大きくなりますが、検査を完全に止めることは避けることができます。ただ、複数台所有している施設は、検体数が大変多く、それだけの機器が必要ということでもあり、日中の繁忙時間に機器を止めることはやはり困難なのかもしれません。

メインの分析機は1台、他に緊急検査用の機器を1台所有、という施設は多いと思います。緊急検査用の機器は、当直者も使用するため比較的簡易な機器で対応している施設が多く、その場合、分析可能な項目はメイン機よりも少ないという場合が多いと思います。この場合、メイン機の稼働時間帯に点検のため機器を止めて、緊急用の機器で対応すると分析できない項目が生じます。この対応は、短時間であれば許容されるとしても、長時間は難しいことが多いと思います。

このよう状況から、機器の点検は夜間帯に実施されることが多くなるといえます。また、緊急検査用の機器は、これを使用しない時間帯、つまり日中の時間帯に点検を実施することが多くなります。夜間の点検に関しては、働き方改革が提唱され、さまざまな場面で見直しが行われている状況から、今後、変化することもあるかもしれません。

点検は専門の技術者が行いますが、点検後の動作確認や、コントロール測定といった確認作業は、検査科の検査技師が対応することになります。メーカーの技術者に任せている場合もあるかもしれません。しかし、機器をバラバラに分解して清掃、整備、調整、部品交換などを行うので、点検後に正しく稼働するかどうかを確認することは、担当検査技師の責任でもあるといえます。夜間に実施する場合、担当検査技師も点検終了まで施設に留まる必要がありす。点検のために宿泊することができない場合もあり、長時間の点検は当直勤務の日に実施するなどの工夫が必要になります。

施設により、また担当検査技師により、いろいろな考え方があると思います。当直勤務ももちろん検査業務があるので、いろいろやり繰りをしながら対応することになります。当直勤務の仕事量が多く、他のことには対応できないということもあるかもしれません。また、そもそも担当検査技師が泊まってまで対応する必要はないと考える場合もあるかもしれません。点検の翌日に、機器の稼働状態を確認するため技術者が立ち合うことが多いので、翌朝、一緒に確認すれば良いと考える場合もあるかもしれません。

しかし、稀ですが、点検中に想定外のことが起きて、ユーザーとしての判断を求められることもあります。また、点検後は機器が最も良い状態であると思われがちですが、実は、部品交換や分解したことによって、微妙な不具合がでることも少なくありません。点検直後のコントロール測定でも、測定結果が悪く再調整になる場合もあります。また、点検直後のコントロール測定に問題がなかったとしても、翌日、通常業務を開始するとトラブルが発生するといったこともあります。

点検でトラブルが起こることは多くはありませんが、それでも、点検の立ち合いは、ただ漠然と一緒にいれば良いというわけではありません。また、点検後の確認も慎重に行う必要があります。そして、点検後は、多かれ少なかれ危機感をもって検査をすることになります。機器の点検は、検査結果の担保のためにも必須と考えられます。点検時は、面倒でも、担当検査技師が対応することが望ましいのではないかと思います。

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ずっとずっと以前、「今日は点検なので15時から機器を止めます。検査は明日になります」などという主張が通っていた時代もありました。(特殊だったのかもしれませんが)まだ、臨床検査の24時間体制が一般的には広まっておらず、大型の自動分析機の導入が広がりつつあった頃だったと思います。15時という中途半端な時間の設定は、おそらく点検の所要時間と対応する検査技師の帰宅時間を考慮して、終電前に終わるように開始時間を設定していたのだと思います。

現在では、このような要望が許されることはほぼないでしょう。点検は検査を止めずに実施します。突発的に起こる故障時の修理さえ、可能な限り検査は止めないように調整します。それだけ診療体制の中で、検体検査が重要視されているということでしょうか。

どのような理由であれ検査を止めることができないのであれば、バックアップ体制を充実させることが必要になります。例えば、同様の仕様の機器を複数台所有する、といったことです。当然、処理件数に対して余裕のある台数でなければならず、交替で運転ができるような体制が理想でしょう。そうすれば、点検を必ずしも夜間に実施する必要もなくなるかもしれません。

しかし、実際には、完全に交替で稼働させるほど余裕のある台数の機器を所有している施設は多くはないと思います。そもそも導入時の予算の問題が大きいですが、たとえば試薬や消耗品などの維持費なども膨らみます。経験的にはこの予算面のハードルはかなり高く、予算執行担当者の理解を得ることはかなり難しいといえます。

ただ、例えば、日中の検査件数を処理するに十分な機器を2式所有したとすると、完全に交替での稼働が可能であり、そのメリットは計り知れないものがあります。検体検査の担当検査技師は、多くの場合、朝の機器の立ち上げ準備のため、勤務時間よりも30分から1時間程度早く仕事を開始します。しかし、2式の稼働時間を工夫すれば、機器の管理のための早出や残業をせず、24時間検査を止めない体制が可能になります。点検も日中に実施できますし、故障した場合も心置きなく修理を行うことができます。検査を止めるリスクや、修理や点検の夜間対応のための検査技師の確保に悩むことも、軽減することができます。

かつては予算の確保が困難だった定期的な点検も、必要性が認められるようになり、予算の計上が比較的容易になりました。充実したアックアップ体制についても今後理解が深まり、働き方改革の実現とともに、現場の検査技師が働きやす環境が整っていくかもしれません。

「機器の上に埃などがないようにきれいに掃除しなさい。毎日きれいに使っていると、メーカーの技術者が来た時に目的のところ以外も見てくれるよ。誰でも汚い機器には触りたくないでしょ。きれいに使っていると、こんなにきれいに使ってくれるなら自分たちも丁寧に見ていこうって思うよね」
これは、私の最初の上司の言葉です。何年も、いえ何十年か前の話なので、メーカーの技術者の方たちの考え方も変わっているかもしれません。でも、自分の担当する機器を「きれいに使う」ということは非常に大切なことだと思います。当然のことと思うかもしれませんが、煩雑な業務の中で意外と忘れがちなことなのかもしれません。

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検体検査室については次の記事でどうぞ

次の記事の中でも点検やバックアップ体制についてふれています。

参考👉

一部のメーカーの記事ですが、メンテナンスについて学ぶことができます。

本記事は診断や治療を目的としたものではありません。あくまでも臨床検査に対する理解を深めていただくための情報や知識の提供の場です。疑問や不安がある場合は必ず医師にご相談ください。

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