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検査結果の遅延

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ぺんさん
ぺんさん

検査結果が遅れるって言われた・・・何が起きたのかな・・・?

病院で検査結果を待っている時、「検査結果が遅れているのでもう少しお待ちください」などとアナウンスをされた経験はありますか。
まれにですが、検査結果が遅れて診察ができないという事態になることがあります。ただでさえ待ち時間が多い病院で、大変申し訳ないことなのですが、そのような経験が一度もないという病院はおそらく少ないと思います。
ここでは、どのような状況で検査結果が遅れることになるのかを、少し説明してみようと思います。

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日中の診療時間帯に検査結果が遅れる原因として、最初に考えられるのは、機器のトラブルだと思います。
ほとんどの病院では、大なり小なり自動分析装置が導入されています。検査の自動化は、検査の結果報告までの時間を格段に短縮し、正確で安定した結果報告を可能にしました。しかし、ひとたび機器にトラブルが起こると、結果報告に多大な影響を及ぼすことになります。

トラブルが起きると、多くの場合、その機器を止めなければなりません。いったん停止して、再起動するだけで解決するトラブルも少なくないのですが、再起動だけでも意外と時間がかかります。機器の構成や種類にもよりますが、停止するまでに数分、リセットをするのに数分、起動に数分を要し、合計すると30分前後を要する場合もあります。

簡単なトラブルの場合、機器がアラームなどを出しても検査結果には影響がなく、検査がそのまま続行可能なこともあります。この場合でも再起動は必要な場合が多く、つまり、30分前後を費やすことになります。

何らかの修理が必要となる場合はさらに時間がかかります。担当技師の判断と対応で解決する場合は、それほど長時間にはなりません。しかし、機器メーカーのコールセンターなどに相談することになると、実際には大きなトラブルではなくても、それなりに時間を要することになります。

コールセンターに相談して指示を受け、それが的確で無事復帰できた場合でも、最低でも1時間程度は要することが多いと思います。また、その指示で上手くいかなかった場合、あるいは、相談した時点で技術員の派遣修理が必要となると、検査担当としては絶望的な気分になります。技術員の到着までの時間と実際の修理の時間が必要であり、早くても3時間から4時間程度は復帰しないことが決定的となるからです。

トラブルが起きると、検査をどのように進めるかという判断が重要になります。
すぐに解決するのであれば、そのまま少し待って、復帰後、速やかに検査を開始するというのが、経験的には一番早く処理ができるように思います。

多くの施設では、トラブル等で測定機器を止めなければならない場合に備えて、どの機器を代替えとして使用するか、というバックアップ体制を整えています。
たとえば、同様の機器を2台体制で運用している場合は、1台に集約するいう選択ができますし、緊急検査用に別の機器を保有している場合は、それを使用することになるでしょう。しかし、その体制にすぐ移行できることは少ないと思います。常にトラブルが起きる前提で機器の準備をしておくことは、現状では難しいからです。

したがって、機器を止める必要がありそうだとなった時点で、準備を始めることになります。
バックアップとして使用する機器が完全に停止している状態であれば、立ち上げ操作からコントロール測定まで、多少簡易的に行ったとしても、最短でも30分から1時間程度は必要になります。また、この準備のために、人員も割かなければなりません。

つまり、トラブルに対応する人、検体の処理を行ったり、該当機器以外の検査を進める人、バックアップ機器の準備をする人、など、通常の検査運用時よりも多くの人手が必要となることになります。また、止まった検査を、機器ではなく用手法で行う場合もあります。その場合は用手法の準備と検査をする人も必要です。

トラブルが起きた時点でいったん検査が止まるので、担当技師は気が気ではありません。自分で対応できるのか、コールセンターに連絡するのか、その間の検体はどうするのか、といった判断をできるだけ速やかに行わなければなりません。また、検査結果が遅れるとなると、関係各所への連絡もしなければならないため、検査科長などへの報告も必要となるでしょう。
こういった諸々の判断をしつつ、トラブル対応をしていくことになります。

それぞれの施設の事情があると思いますが、経験的には、トラブル時は外来の至急検査を優先して行います。もちろん、病棟や手術室の緊急検体は対応します。非常時なので、ある程度優先順位を決めて対応しなければなりません。こういった判断は、マニュアルなどできちんと規定している施設もあるかもしれません。しかし、トラブルの内容とその時点の状況は、その時ごとに異なり、臨機応変な対応が求められます。したがって、対応した技師の裁量にかかってくるところが大きいといえます。

トラブルをどの段階でどこまで周知するか、といった問題は、施設ごとに取り決めなどがあると思います。外来には、30分以上遅延するようなら連絡する、あるいは1時間以上の遅延の場合は全館に周知する、などです。しかし、解決までの所要時間を正確に割り出すことは難しく、最初に長めに申告したり、追加で延長する旨を再周知することになったりします。
いずれにしても、このような状況の場合「検査結果が遅延しているので診察遅れています」といったアナウンスがされることになります。

機器のトラブルは、「誰が悪い」ということなく起こる場合がほとんどだと思います。前触れなく突然にやってくる事も少なくありません。

どのような機器であっても、日常のメンテナンスや定期的な部品交換などが必ず定められており、担当技師やメーカー技術者などによって実施されています。これは、安定稼働のために必須です。しかし、どれほど丁寧に扱っていたとしてもトラブルが起きる時はある、というのが正直な私の意見です。

「きちんとメンテナンスをしていればトラブルは回避できる、そして、トラブルなく運用している」とおっしゃる方もいると思います。そうでありたいし、そうあるべきだと思います。しかし経験的には「そうならないこともある」と、言わざるを得ないと思っています。

もちろん、日々のメンテナンスや定期点検、部品交換などは大きなトラブルの回避に有用といわれてます。経費削減が求められる昨今、部品なども、なるべくぎりぎりまで使用したいところですが、原則、メーカーの推奨期間を守って交換します。メーカー推奨の各部品の使用期間は、多くはその部品の寿命より短く設定されています。多少の個体差や、不測の事態を考慮して決められているからです。したがって、少し過ぎたからといってすぐに使用できなくなるわけではありません。しかし、安定稼働の担保として、推奨通りの定期的な交換を実施するのです。

そういった部品交換やメンテナンスを実施していても、やはりトラブルは起きるのです。その原因はさまざまで、未然に防ぐことができないものも多くあります。
結局、毎日注意深く、丁寧に機器を扱うことが重要だと思います。「丁寧に」というのは単に「やさしく」ということではなく、少しの変化でも気付くことができるように、目で見て、音を聞き、注意深く取り扱うということでしょうか。

すべてに通用する話ではないかもしれませんが、「担当が変わるとトラブルが起きる」という話はよく聞きます。新しい担当技師の使い方が間違っているわけではなく、手順通りに操作しているのにもかかわらず、何らかのトラブルが起きることが多い印象があります。それほど大きなトラブルになることは少ないですが、洗礼を受けたといえるでしょうか。分析機器の操作も、ちょっとしたノウハウが役に立つことが多く、それはマニュアル化し難い部分でもあり、先輩から受け継いでほしいものといえます。

機器のトラブル時の対応は、どうしても、担当技師の経験や技量に依るところが大きいことは否めません。
経験年数が長く、トラブルも経験してる技師の方が、初めて対応する技師よりも手際よく対処できることは、想像するに難くないと思います。
確かに「感が良い」ということはあるかもしれません。しかし、やはり知識や経験に基づくことが多いと思います。

こういったトラブル対応術といった技術の継承も、難しい問題があると思います。以前は「先輩の対応を見て覚える」といったことも通用していたと思いますが、現在はマニュアル化が必須となっています。客観的にマニュアル化することは良いことだと思います。しかし、すべてのトラブルは一様ではなく、マニュアル化することは難しいのではないかと思います。


トラブル対応は教科書には載っていません。現場で経験しながら、学び、考え、応用しながら身に着けていくものだと思います。マニュアルや取扱い説明書を読むことも重要ですが、経験豊富な技師から学ぶことも多いということも覚えていて欲しいと思います。

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検査結果が報告できない原因として、システムのトラブルも考えられます。電子カルテシステムと検査システムとで運用されている病院が多いと思います。システム化は分析機器の自動化と同様、検査のすべての工程の時間短縮に貢献し、正確で安定した結果報告を迅速に行うことができるようになりました。しかし、ひとたびトラブルが起きると、さまざまな混乱が生じることになります。

検査システムのトラブルは、電子カルテは正常に動いているが、検査科内のシステムが正常に機能しない状況です。
これには、電子カルテから情報が受け取れない場合や、検査科内で機器との通信に支障がある場合などが考えられます。

電然カルテとの通信に支障がある場合は、検査依頼が受け取れない、あるいは結果が反映されない、ということになります。この場合、対応策としては、伝票での対応となると思います。これは、依頼する側も混乱しますし、検査科では依頼を検査システムに入力する作業が発生します。結果も電子カルテに送信されないので、紙での報告となります。機器は問題なく動いたとしても、依頼の受信と結果報告が手作業となるため、相当な時間を要することになります。

検査システムと測定機器との通信に支障がある場合は、電子カルテから情報は受け取れますが、検査依頼情報を分析機器に送信できないので、その過程が手作業となります。結果についても、機器からの送信ができなければ、システムに手入力することになります。ただ、手入力は検査結果の誤入力という検査過誤を起こしかねないので、いったん紙報告とし、システム復帰後に電子カルテに送信する場合もあると思います。いずれにしても、通常より時間を要することは間違いありません。

システムのトラブルは、技師が解決できることは少なく、システムメーカーのエンジニアに相談し、対応を任せることになります。リモートで調査して対応できる場合も多いようですが、ある程度の時間は必要になります。

電子カルテのトラブルの場合は、検査依頼が受け取れず結果も反映できない、あるいは、どちらか一方の通信のみ支障が生じる場合などがあると思います。
そもそも電子カルテのトラブルなので、カルテの機能が十分には使用できないと考えられます。すべて使用できない場合もありますし、閲覧のみ可能など、一部の機能は使用可能な場合もあるかもしれません。いずれにしても病院全体の問題であり、診療には制限が生じます

検査科としては、カルテとの通信ができないと依頼情報が送信されてこないので、紙伝票での運用となり、結果も紙の報告となります。分析機器は正常に稼働しているので、検体を架設すれば検査結果を出すことはできます。しかし、依頼情報を得ることができないので、すべて手作業で依頼情報を入力し、結果も紙に印刷することになり、通常の運用時間より長い時間を必要とします。

電子カルテシステムのトラブルは、診療体制に支障をきたす問題なので、検査結果だけの問題ではないといえます。診療は遅延しますし、場合によっては薬剤の処方などにも影響がでます。電子カルテは診療体制の利便性を向上させましたが、ひとたびトラブルが起きると、その被害は相当大きなものとなります。トラブルの対応は専門のエンジニアが行い、時間も長時間になることが多いと思います。

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検査結果が遅れる要因を考えてきました。機器のトラブルを原因とする場合が多いと思います。このことは、検体検査を担当する技師はきちんと認識すべきだと思います。

しかし、当然のことながら、故意にトラブルを引き起こしているわけではなく、担当技師は、日々、安定稼働を心がけています。それでも機器が止まってしまったら、いかに早く復帰させるか、検査を止める時間を最短にするのをどうしたら良いか、などを考えて対応しています。

患者様にとっては、いかなる理由であっても、診療が遅延するのは許しがたいことだと思います。
私自身は、結果遅延時に、外来患者様向けの説明文書を作って外来の待合に掲示したこともありますし、始末書的な説明文書を病院から求められたこともあります。不可抗力のようなトラブルであっても、患者様にご迷惑をかけている点は反省すべきです。しかし、次回は同じトラブルで止めることのないよう対応策を練り、一層の安定稼働ができるよう努めています。こういった技師の姿も、少し知っていただければと思います。

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検査室もシステム化についてはこちらも記事をどうぞ

参考

他の記事でも紹介しましたが、厚生労働省のホームページです。医療機関向けの内容もありますが、電子カルテの普及状況などの資料などをみることができます

本記事は診断や治療を目的としたものではありません。あくまでも臨床検査に対する理解を深めていただくための情報や知識の提供の場です。疑問や不安がある場合は必ず医師にご相談ください。

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