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システムが停止したら・・・

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ぺんさん
ぺんさん

システムが使えないってどのような時なのかな・・・?

現在では、多くの病院で大小さまざまな検査システムが導入されています。病院には電子カルテが導入され、その電子カルテと連携することにより、さまざまな情報が共有されています。
システムの利便性を謳歌しているわけですが、システムを使えない状況について考えてみたいと思います。

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一般的に、システムは分析機器などと同様に、定期的なメンテナンスやバージョンアップなどが必要です。多くの場合、これは計画的に実施されます。つまり、メンテナンスの日時が周知された上で行われます。したがって、何らかの対応が必要だったとしても、策を講じておくことが可能です。

システムのメンテナンス作業は、稼働しながらできる場合もありますが、多くの場合、停止して実施、あるいは、作業は止めずに行いますが、終了時に再起動が必要になります。再起動が必要な場合は、システムを一時的にでも停止しなければなりません。ただ、再起動だけであれば数分から数十分程度なので、一時的に受付や検査を止めることになっても、繁忙時間帯を避ければそれほど大きな問題ではないと思います。

システムのマスタ変更などは、定期的に行われることが多いと思います。検査システムでは、例えば検査項目や医師の氏名など、さまざまな情報がマスタで設定されています。したがってそれらの変更があるたびに、マスタを修正する必要があります。

マスタの変更をすると、最終的に再起動が必要になる場合が多いと思います。この再起動は、システムの構築の仕方にもよりますが、マスタの変更をいつから反映させるか、なども考慮して日時を決める必要があります。また、毎日、再起動をすることが推奨されている場合は、それに合わせて変更作業をすることもあります。

再起動と動作確認だけであればそれほど時間を要しないので、大きな問題はなく実施できることが多いと思います。
夜間当直業務がなかった頃は、一日の終業時間後に実施していました。24時間体制の場合は、夜間の遅い時間帯や早朝などの比較的検査依頼が少ないと思われる時間に行うことが多いと思います。

経験的には、検査システムでは、システムを長時間止めて実施するような大がかりなメンテナンスなどはなかったように思います。以前は、定期的にサーバーを再起動しなければならないといったこともありましたが、最近では、そのような再起動も不要といったシステムもあるようです。

電子カルテの場合は、検査システムより大規模なメンテナンスが必要になります。マスタの修正や変更もカルテ全体にかかわることなので、内容も多くなります。

電子カルテでは、当然のことながら、検査科だけでなく、放射線科、薬剤科、栄養科、医事課など、病院内のさまざまな部署のシステムと連携しています。また、レントゲンやCT、生理機能検査などの画像データを管理するシステムや、手術室の手術管理システム、場合によっては看護記録なども、別のシステムとして運用され、電子カルテと連携しています。

システムのメーカーや構築の仕方などによって異なると思いますが、それぞれのシステムに変更があった場合にも、電子カルテで変更が必要な場合があります。

電子カルテのメンテナンスは、稼働中に実施してその作業を反映するための再起動が必要な場合と、電子カルテを停止して実施する場合とがあります。いずれの場合も、当然前もって周知されます

電子カルテを完全に停止する場合は、比較的、病院全体が穏やかに過ごすことが多い時間帯を選択します。施設によって事情が異なると思いますが、休日の日中などが多い印象があります。夜間は勤務している職員の数が少ないため、不測の事態が起きた時に対応する人員の確保が難しくなるため、大規模なメンテナンスなどは実施しないと思います。

電子カルテをある程度の時間にわたって停止する場合は、停止中の運用の仕方を十分に取り決め、周知しておく必要があります。電子カルテは診療全体に関わるため、トラブルは患者様の生命に危険がおよぶことにもなり兼ねません院内全体に周知しておくことによって共通の理解のもとシステムが停止することになるので、混乱が少なくなります。短時間の停止であっても、あらかじめ周知は必要ですし、比較的影響の少ないと思われる時間に実施されます。

計画的な停止の時は、事前に準備することができます。しかし、突然の停止は多かれ少なかれ混乱が生じます
突然の停止の原因は、サーバーのトラブル、ネットワークの異常、サイバー攻撃、停電、自然災害などが考えられます。

突然の停止による影響は、その原因や程度によって変わってきます。サーバーのトラブルでは、電子カルテ全体に影響を及ぼすため、最悪の場合、電子カルテに関わるすべてのシステムが停止します。一部の機能が使用できる場合もありますが、診療に多大な影響が出ることは間違いありません。

ネットワークの異常では、多くの場合、ルーターやHUBの故障、LANケーブルの障害などが原因となるので、障害は一部に限られることが多くなります。一部の端末のサーバーへのアクセスが不能になる、画像データのように容量の大きいデータの送受信が困難になる、などの障害が起こります。病院全体の機能が停止することはないかもしれませんが、影響は少なくはありません。

停電は、落雷、電力会社が原因の場合、その施設の電気設備の不具合の場合、など、さまざまな原因によって起こります
どのような理由であれ、停電は突然真っ暗になるので、非常に驚かされます。昼間の落雷は、建物中が真っ暗になるということはありませんが、夜間の場合は本当に真っ暗になります。病院は自家発電などの非常電源が整備されているので、停電が起きるとすぐに切り替わるとされていますが、なかなか「すぐ」がすぐではないこともあり、不安がつのるものです。

停電の問題は、稼働中の機器とPC類の電源が、一瞬で切れることです。無定電電源装置(UPS)を接続している施設もあるかもしれませんが、すべての機器、PCに対応しているところは少ないと思います。最近のPCは電源が突然切れても壊れることは少ないようです。しかし、やり取りしているデータが損なわれる可能性は大きいと言われています。

また、停電の場合はさまざな医療機器も止まってしまいます。検査科の分析機器もそうですが、患者様に装着している医療機器も止まってしまいます。手術室や放射線科などの医療機器も同様です。これらは患者様の生命にかかわることで、直ちに対応しなければなりません医療機器は、内蔵バッテリーに切り替わるようにはなっていますが、これは長時間稼働するためのものではないため、速やかな対応が必要となります。

システムや分析機器は、可能であれば、停電が完全に解決してから電源をONにします。停電の原因にもよりますが、一度通電しても、再び停電になることもあります。また、一度非常電源に切り替わると、電力会社の電力供給が再開した時に、瞬電が入って切り替わる場合が多いからです。停電が長期間にわたる場合は、非常電源などによる電力供給が安定した時点で稼働します。

サイバー攻撃はインターネットを通じてシステムに不正にアクセス、攻撃するものです。データの改ざん、情報の流出、システム機能の停止、金銭の要求などの被害をもたらします。

近年、病院のサイバー攻撃のニュースが聞かれます。病院の全機能停止とまではいかなくても、電子カルテが暗号化され停止したり、個人情報が流出し、身代金が要求された事例などが報告されています。電子カルテが使えず紙カルテの対応となったり、一時的に救急患者の受け入れ停止を余儀なくされ、復旧までに2カ月から数カ月を要しているようです。

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さまざまな要因でシステム停止が起こります。計画的に実施されるものに関しては、多忙な時間帯を避け、業務に制限をかけるなど、システム停止による不測の事態を回避するように計画されます。
例えば、別の設備の点検と合わせて、システムを停止する点検などを計画することがあります。

病院では、年に一回程度、電気設備の点検が実施されます。電気設備の点検なので部分的、あるいは全館の停電が起こります。その場合、病院の業務はかなり制限を受けることになりますが、法律によって義務付けられているため実施しなければなりません。この時に、電子カルテのサーバーメンテナンスも行うことがありました。

電気設備点検による停電は時間が決められていますが、停電の間はシステムPCは停止することになります。したがって、この間にサーバーメンテナンスを実施すれば、サーバーのメンテナンスのためだけにシステムを停止する必要がなくなります。

あらかじめシステムが停止することがわかっていれば、手術の計画もされませんし、場合によっては救急患者の対応を一時的に停止することもあるかもしれません。あらかじめわかっている数時間程度であれば、原則、検査依頼や薬剤の処方を控えることも可能です。やむを得ない緊急の場合は、例えば伝票対応にするといった対応を取り決めて準備をしておけば、混乱も少なくなります。

問題となるのは、突然の停止です。
落雷による停電の場合は、復旧までに何時間も要するといったことは少ないと思います。停電の場合は、医療機器の対応が最優先されますが、電子カルテの端末は、とりあえず電源を切るように指示されます。これは、復電時の過電流などによるトラブルを回避するためです。全に復電されたことを確認したのち、電源を入れ正常な起動を確認して使用開始となります。

検査科の場合、急な停電は、機器の故障を引き起こす可能性のあるので、復電後、機器の動作を確認してから業務を再開することになります。
いずれにしても、落雷などによる一時的な停電の最中は、システムを介して行う医療行為は一時的に停止することが多いと思います。

サーバーのトラブルやネットワークの異常は、その程度によって対応も変わるといえます。
完全にサーバーがダウンしてしまった場合、電子カルテは機能しないので、診療体制は大きな打撃を受けます。まず、すべての指示を紙伝票対応にすることになります。検査依頼も薬の処方も、点滴やそのほかの看護師への指示や食事の指示など、すべての指示が対象です。また、医事課での診療費の計算なども、システムが使用できない場合は、すべて手作業で計算することになります。

電子カルテが使用できない場合は、連携している他部署のシステムが稼働可能だとしても、電子カルテとの連携が取れないので、依頼や指示の情報は手作業によって反映させなければなりません。紙伝票を受け取って、その情報を手入力するということになります。
各部署のシステムも稼働不能であれば、すべてを紙伝票で運用することになります。

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システムが停止する状況を考えてきました。

私自身は、落雷による停電を何回か経験しています。
昼間起きたときは、生化学の分析機器が稼働していました。昼間で窓のある検査室でしたので、照明が消えても真っ暗にはならなりませんでしたが、生化学検査のシステムPCの電源が落ちました。生化学の分析機器は「ダン」という音の後「シュー」と音がして静かになりました。

分析機器は、機種によって異なるかもしれませんが、電源が切れるとサンプルプローブなどが最下点まで下がってしまいます。突然電源が切れると、場所は無関係に下がるので、何かの部品等に衝突して曲がったり折れたりしてしまう可能性があります。
この時はほどなく復電し、システムのPCは問題なく起動しました。分析機器はプローブなどの損傷がないか確認し、洗浄操作などを実施した後、分析を再開しました。

夕方に起きた時もあります。この時は、まず、真っ暗になって驚きました。日中の業務は終了していて、夜間の当直時間帯になっていました。自分は当直ではなく、たまたま残っていて停電に遭遇しました。最初、見事に真っ暗となり、数秒で一部の照明が灯りました。非常電源によるもので、電子カルテやシステムPCなども一回起動しましたが、この時は、直後に再度停電になってしまいました。少し待つと再度復電しましたが、通常電源による復電ではありませんでした。この間、PCや機器は電源のOFFとONを自動で繰り返してしまった状況でした。

停電になったらPCなどの電源をOFFにすることは知っていても、突然真っ暗になった時、すぐには対応できないものです。UPSを接続していれば問題ありませんがそうでない場合は、非常電源への切り替えが速いと、対応する前に非常電源が作動してしまう感じだと思います。この時は2回目の非常電源による復電の際、すべての機器やPCの電源をOFFとし、電源の完全復帰を確認してから再起動することにしました。幸い機器等は故障には至らず、電源復帰後、動作確認をした後検査再開となりました。ちなみに、緊急検査室と同じフロアにICUがあったのですが、真っ暗な中、医師が脱兎のごとく駆けつけていたのを覚えています。

電子カルテシステムのサーバーがダウンしたこともありました。週末のことだったと思いますが、電子カルテは参照機能のみ使用可能な状態となりました。検査システムは稼働可能でしたので、紙伝票で依頼を受け付けることになったと記憶しています。この時の原因はサーバー室のエアコンの故障でした。ドアを開けたり扇風機を使用するなど対策中でしたが、室温の上昇に追いつかず、サーバーがダウンしてしまったとのことでした。週明けまでには復旧しました。

ネットワークのHUBが不具合になったことがあります。この時は、該当のHUBが関与する部分のみ不具合となったので、ラベルプリンタなど、一部の接続機器との通信に不具合が生じ使用不能となりました。メンテナンスの一環でHUBを交換し、その作業後不具合が発生したのですが、すぐにはそのHUBに原因があることがわからず、不具合を抱えたまましばらく過ごした記憶があります。

ネットワークの不具合の場合、原因の特定が難しいことが多いと思います。特に一部の不具合の場合は、なかなか原因の究明に至らず、業務の制限はそれほど大きくはないのですが、当事者のストレスは大きいように思います。

このように、システムが止まる事態は意外と発生しています。落雷などは地域の問題もあるかもしれませんが、全く可能性がないところはないのではないでしょうか。サーバーやネットワークの不具合も、けして稀なことではないのだと思います。電子カルテがすべて停止してしまうほどの大きなトラブルは多くはないと思いますが、多少の不具合や一部の機能の制限などは、意外と起き得ることなのではないかと思います。

もちろんトラブルは起きない方が良いに決まっています。しかし、トラブルが「絶対起きない」ということはないと思います。したがってトラブルが起きたらどのように対応するかを考えておくことが大切だと思います。

病院など施設全体で取り組むべき問題かもしれません。マニュアル化なども必要でしょう。しかし、「誰かが対応してくれること」ではなく「自分のこととして考えていること」が重要なのではないでしょうか。

合わせて読みたい

検査室のシステム化については次の記事でどうぞ

次の記事では、検査結果が遅れる状況を取り上げています。

参考👉

病院のサイバー攻撃に関する記事です。ご興味ある方は読んでみてください。

専門的な内容ですが、厚生労働省の取り組みなどを見ることができます。

本記事は診断や治療を目的としたものではありません。あくまでも臨床検査に対する理解を深めていただくための情報や知識の提供の場です。疑問や不安がある場合は必ず医師にご相談ください。

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