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こんなことがありました・・・1

こんなことがありました
ぺんさん
ぺんさん

「こんなことがありました」を集めてみました。
これは記事の中で、ちょっと息抜き的な感じで書いている経験談のようなものです。
「ちょっと面白そうかも」と興味をもっていただいて、それぞれの記事を読むきっかけになればと思っています。

私の経験でいえば、凝固検査の検体が固まっていたので医師に連絡すると、「血が固まりにくいかもとスタッフに言われたので、確認のために採血したのだけど、固まったのなら大丈夫かな・・・。とりあえず今日は中止にして、日を変えて検査します」と言われたことがあります。これはこども病院での経験ですが、「凝固機能の確認をしたかったから、参考値でなく正しい検査結果がほしい。でも、現状、固まったのなら緊急性はなさそうだから、今日は中止にして、後日検査しよう」という感じでしょうか。小児だったということも大きいと思いますが、こんな判断もあるのです。

こんな経験があります。
外来ですが他院から搬送されてきた患者様の採血検体を検査していたところ、グルコースが1000㎎/dl という値がでました。この値は施設などに関係なくパニック値です。通常の検査の中では、あまり経験することのない異常値で、「こんな結果あり得ない」という技師もいるかもしれません。
この値を報告するにあたっては、検査過誤でないことを確認する必要があります。また、患者さんが点滴をしていた場合、採血時にその点滴の薬剤が混入するとこのような値になることは知られていることなので、そのような事実がないかどうかも確認する必要があります。しかし、本当に患者様の値なのであれば、大至急に処置しなければなりません。
そこで、再検査をはじめつつ、提出医に連絡をしました。「今再検をしているところで、第一報なのですが」と前置きをした上で、「グルコースが1000㎎/dlなのですが、先生、この患者さん点滴していますか」と問い合わせました。電話の向こうの医師は、一瞬固まった感じでしたが「いや、点滴はまだしていない」と即答でした。そうすると、検査過誤でなければとんでもない値です。医師は続けて「とりあえずもう一回採血するよ」と。再検査の結果は変わらず、また再採血も同様の結果で、すぐに処置がされました。これは私が実際に経験した症例です。
「点滴の混入」というのは、あってはならないインシデントなのですが、実際の医療の現場ではまま起きています。たとえば採血した人が検査をしていれば、結果を見た時にすぐに思い当たるかもしれませんが、検査科で検体を受け取って検査をしている場合、採血時のインシデントは想像でしかありません。また、点滴が混入した検体の検査を経験して、その影響について学習してしまった技師は、次に同様な結果を見た時に「これも点滴だろう」と勝手に思い込んでしまい、対応が後手に回る場合もあります。
真の「パニック値」は、分析前誤差や検査過誤と区別されなければなりません。しかし、測定値だけを見た時、その区別が難しいことが多いのも事実です。したがって、患者様の生命を守るためには、他の医療スタッフとのコミュニケーションも重要になります。臨床検査技師は、検査過誤を起こさない努力とともに、思い込みも持たず、真摯に検査結果と向き合わなければなりません。「こんな結果あり得ない」と思うのではなく、なぜこの結果になったのかを考える姿勢も必要でしょう。

溶血を認めた場合、検査結果に影響があるので一般的には再採血が勧められます。しかしすべての項目が影響を受けるわけではありません。言い換えれば、項目によっては、再採血をせずにそのまま報告をしても臨床的に大きな問題にはならない場合もあります。
こんな経験があります。私がある病院で当直をしていた時のことです。救急外来からの採血検体を遠心分離したところ溶血していました。どれくらいの溶血だったかデータとして残っていないのですが、医師に連絡しようと思ったので、結構強い溶血だったと思います。採血をしたのは救急外来の看護師でしたので、その看護師に直接再採血を依頼するのも一つでしたが、夜間の救急外来でのこと、それほど忙しい日ではなかったと記憶していますが、再採血で時間をとるのは具合が悪くて来院した患者様にとっても好ましいことではありません。そこで私は担当医師に連絡をしました。「先ほどの患者様の生化学の検体ですが、結構溶血しているのですが、再採血しますか」と。すると医師は「CRP(C反応性蛋白)は溶血の影響ないよね。今日知りたいのはCRPだからそのままで測定していいよ」と即答でした。CRP以外の項目も依頼されていましたがそのまま測定することとし、「溶血」のコメントを付記して報告しました。このケースは医師も検査について熟知していて、スムーズに話ができました。もちろんいつでもこのような状況になるわけではありませんが、溶血の影響を十分理解していれば、このような考え方もできるといえます。

黄疸(黄色度)に関して、少し苦い?経験があります。かなり以前のことですが、ある病院で一人当直をしていた時のことです。救急外来から検体を受け取りました。血算、凝固、生化学だったように思います。検査の効率を考えて、まず私は生化学検体の遠心分離をしつつ、凝固検体の遠心分離と血算の検体の攪拌をはじめました。頭の中の段取りでは生化学の検体を測定機に架設してから血算と凝固検査をしようと思い、遠心機から生化学の検体を取り出しました。すると血清はかなりの黄疸。咄嗟に「これは肝機能がまずいかも」と思い、血清に余裕があったので、5倍だったか10倍だったかの希釈をした検体と元検体を一緒に装置に架設しました。そのあと血算の結果を見ると、かなりの貧血。この時点でピンとくれば良かったと思うのですが、当時の私はピンとこず・・・。そうこうするうち生化学の結果をみると、肝機能はほぼ正常。そうです。この患者様は溶血性疾患だったのでしょう。この後も血液型の検査での苦労もあったのですが、患者様は確定診断はされないまま、当直医の判断でより大きな病院へと搬送されました。
「黄疸が強い=肝機能障害あり」の思い込みで、バタバタと実際には不要の作業を行った事例でした。

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