検体検査室って・・・

検査室ってどのような場所なのかな・・・?
検査科、検査室がどのようなところか、一般の方は、あまり目にすることはないと思います。
ここでは、検査室、特に検体検査室はどのようなところなのか、少し覗いてみたいと思います。「検査室あるある」的なお話も交えてみたいと思っています。なお、内容には個人的な見解を含むことをご了承ください。

検体検査室の構成

一般の方で、検査室に入った経験のある方はあまり多くないと思います。
生理検査室には行かれた経験がある方も多いと思いますが、検体を扱う検査室には、なかなか入る機会はないと思います。
尿検査室が採尿室と続いているところでは、採尿コップを提出する窓口などから、少し見えるかもしれません。

検体検査室は、施設によって、血液検査室、生化学検査室、一般検査室などが、それぞれ独立した検査室になっている場合と、その3部門が1つに、あるいは血液検査室と生化学検査室が1つの検査室になっている場合などがあります。

いずれにしても、採血や採尿により採取された検体を検査する検査室ですので、これらの検体を「受け付ける場所」あるいは「検体の提出場所」が必ずあります。

検体が提出されると、受付の処理をします。多くの施設で、検査受付から結果報告までシステム化されているので、そのためのコンピュータ端末が何台か設置されてると思います。

検体検査は、機器分析が多いので、受付処理の後、機器に架設するための前処理を行います。遠心分離をするための遠心機なども何台か設置されています。
前処理の後、「機器に架設→結果確認→報告」、というのが大筋の流れだと思います。機器も1種類、1台ではなく、複数台また、何種類かを設置している施設もあります。

検査の内容によって、機器測定以外の検査もあります。
例えば血液検査では、血算や凝固検査は機器測定ですが、血液像検査は標本作成、染色、鏡検、という工程があります。標本作成は自動で行っている検査室もありますが、用手法で実施している検査室も少なくないと思います。したがって、その処理をする実験台などがありますし、顕微鏡も設置されています。

尿検査室(一般検査室)でも、定性検査は機器で行うところが多いと思いますが、沈渣検査は、尿の遠心分離、標本作成、鏡検、という工程を用手法で実施している検査室が多く、そのための実験台や顕微鏡などが設置されています。
検査は水物・・・
検体検査は「水物」ということがあります。(一般的ではないかもしれませんが。)
検体検査は、検体が提出されてはじめて検査が始まります。「予約検査」といったものは基本的にはありません。極端な言い方にはなりますが、「提出する側のタイミングで」検体は提出されます。検査する側の都合は関係ありません。

例えば、交通機関のトラブルでスタッフが揃っていなくても、急病で予定外の休暇ととったスタッフがいても、測定機器に不具合があっても、検体は容赦なく提出されます。
逆に、すべて万全で、「スタッフ総出でお出迎え」の状態でも、検体が提出されなければ検査は始まりません。

検体検査の分野は、原則として検体が提出されるとすぐに検査を始めます。「診察前検査」や「至急検査」と呼ばれるように、検体提出から、30分~1時間程度で報告しなければならない項目があります。
現状では、院内で検査を実施する項目は、ほとんどが検査当日に報告可能です。検体を受領したらそのまま検査に進み、当日中に結果報告まで行うことが多いと思います。

また、血液検査の血算の検体や尿検査の尿検体などは、検体の保存は望ましくなく、採取から4時間以内程度で検査することが推奨されています。生化学検査の検体も、血清検体は適切な管理のもとであれば保存も可能ですが、項目や検体の種類によっては保存不可の場合があります。

検査科がどのような状況であっても、検体が提出されれば検査を開始しなければなりません。報告までの時間が決められていたり、検体を保存できないものも多いので、速やかに検査することが求められます。
しかし、いつ、どの程度の検体が提出されるかをコントロールすることは、検査科ではほぼできません。つまり「水物」なのです。

待つのも仕事
検体の受け付け時間
検体検査は検体が提出されないと仕事が始まりません。極端な言い方をすれば、「検体がなければ仕事もない」ということになります。・・・もちろん、検体測定以外にも仕事はあるのですが。

検体の受け付けは、施設によって事情が異なると思いますが、概ね8時半から17時までが通常の検査受け付け、17時以降翌朝8時半までは夜間(当直)受け付けだと思います。(施設によって多少時間の前後があると思います。)

日中の検査と夜間の検査で、受け付けできる検査項目を変えている施設もありますし、24時間すべての検査項目を受け付ける施設もあります。また、夜間は検査を実施しない施設もあります。いずれにしても、受け付け時間内はいつでも検体が提出されます。

検体提出のスケジュール
入院病棟がある病院では、朝一番に提出されるのは、多くの場合病棟の検体です。外来は、採血の開始が概ね8時前後だと思いますが、病棟は早朝から採血、採尿などが行われています。以前は入院していると、「早朝5時頃に採血で起こされる」と言われていました。現在は、おそらくそれほど早朝には採血などを行わない施設が多いのではないかと思いますが、それでも、朝8時から9時頃までには検査科に検体を提出できるようなスケジュールで運用されていると思います。

外来の検体は、採血室などの業務開始後に検査科に届きます。結果を待って診察になる診察前検査の方が多く、届く検体は至急検査の割合が高くなります。
したがって、午前中、朝8時半から10時、11時くらいまでは、病棟の検体と外来の検体が一緒に届くことになり、検査科は大混雑となります。

朝の混雑がひと段落すると、その後は、提出される検体を断続的に処理することになります。外来の検体が中心になることが多いですが、病棟の検体が終了するわけではなく、順次届けられます。途中に急患や術中検体など大至急の検体が届くこともあります。これらを滞りなく検査し、結果を報告しなければなりません。

外来の採血数、採尿数は、病院の規模や診療科の種類などによって異なります。
朝は診察前検査の方が集中し、徐々に診察が進むと、診察後検査の採血の方が加わります。外来の予約は午前中が多い傾向にあるので、採血・採尿も、午前中に集中することになります。

午後に診療がある場合は、一般的な昼休みの時間、つまり11時半くらいから13時頃まで、午後の診察前検査の方が来院されます。採血後に昼食をとって診察を待とうと考える方も多く、昼の時間帯に採血となります。施設により状況は異なりますが、一般的には検査科も交代で昼休憩をとるので、昼の時間帯は、半分くらいの技師数で対応することになります。それでも検査の所要時間を変えることはできません。

午後も15時くらいになると、外来の診療も落ち着く場合が多いですが、17時まで予約がきっちり埋まっているような病院もあります。ただ、全診療科が終日診療をしていることは少なく、一部の診療科が、午前と午後、あるいは午後のみ診療をしていて、そこに訪れた患者様の採血・採尿が発生することになります。その数は、午前中の数に比べると少ない場合が多いと思います。
病棟については、必要に応じて、あるいは決まった時間で、採血・採尿がされ、提出されます。

待つのも仕事

病棟と外来の検体が、朝から夕方まで断続的に提出されます。しかし、これがすべての時間に満遍なく届くわけではありません。午前中は多く、午後少ないことが多いように思いますが、午前、午後の中でも多い時間帯と少ない時間帯があります。

午前中はそれなりに検体が提出されても、午後になると、検体提出がパッタリ途絶えることもあります。午後の診療予約も、遅い時間になるにつれ、少なくなる傾向にあることが多いですが、そもそも予約数が多すぎて診療が遅延し、患者様が検査に回るのが遅くなることも少なくありません。

また、小児科の場合には、午前中は未就学児が、午後は学校が終わってから来院する方が多く、結果として午後の早い時間帯は少なく、夕方近くになって混んでくるということにもなります。

息つく間もないほど検体に追われて、バタバタと終わる日も少なくありません。昼食を取る時間もないほど忙しいこともあります。
ただ、検査科への検体提出は、ばらつきがあります。
たとえば、午前中は検体が多く忙しくても、14時頃から検体提出が途絶えることがあります。しかし、それで平和に終わるのではなく、16時頃から続々と提出されて、大忙しになるようなこともあります。2時間も検体が提出されないと、このまま終わりで良いような気持ちにもなります。

検体提出が途切れたとしても、いつ検体が提出されるかわかりません。検体が提出されなくても、提出時間内は、原則として、いつでも検査ができる状態にしておかなければなりません。その意味で「待つのも仕事」なのです。
待っている時間は何に使うか

新しい技師さんが入ってくると、必ず、「検体待ち」のような時間もあるということを話すようにしていました。しかし、「待つのも仕事」ということを理解していただくのが難しい場合もありました。

私が仕事を始めたころは、まだのんびりしていた時代で、業務時間内でも、検体が途切れると交代で一息ついたりすることもありました。そういうことも許されていたということでしょうか。
最近では、業務時間内は、水分補給はするものの、表立って休憩が取れる状況ではない施設も多いと思います。

検体提出が途切れたとしても、いつまで途切れているかはわかりません。結果として、1時間空くかもしれませんが、15分で検体が提出されるかもしれないのです。なかなかその見極めは難しいのですが、ただ漫然と待っているのももったいないものです。

息つく間もないほど忙しい日は、機器のメンテナンスや、急がない事務処理などに時間が取れないこともあります。検体提出が途切れて落ち着いている時間は、そういったことに充てることもあります。
また、仕事がひと段落して手が空いたら、たとえば取扱い説明書やマニュアル、検査関連の本などを読んだり、自分の勉強に充てても良いと話していました。もちろんすぐに検査に戻れる状態で、ですが・・・。
検体検査室は・・・
検体検査室、特に生化学検査のエリアは「工場みたい」と表現されることがあります。大きな自動分析機が複数台配置されていている風景が、そのように映るのかもしれません。

施設の規模や診療科の種類などによって検査科の事情も異なります。測定機器の規模も大小さまざまですし、配置されている技師数も違います。ただおそらくどの施設でも、以前に比べて配置される技師数は減っています。
以外と少ない人数でも、検体が届いたら、いつでも速やかに検査をして結果を報告できるよう、技師は日々頑張っています。

臨床検査技師のお仕事や検体検査については次の記事でどうぞ




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