採血の大切さ~なぜ採血をするのか~

「採血」は嫌だなあ・・・
「採血」って好きな方はいるでしょうか・・・「大嫌い」というほどでなくても、「あまり好きではない」という方が多いかと思います。「血を見るのがイヤ」「痛いのがダメ」「針が嫌い」「ともかく嫌い」と理由はさまざま。でも、実際はなかなか逃れられるものではありません。
今回はこの「採血」について考えます。

採血する場面
採血する場面としてどんな時、どんなところが浮かびますか。病院や健診でしょうか。
「採血」とはその言葉の通り、注射針で体内の血液を採取する医療行為です。
少し大きい病院では「中央採血室」などという場所で採血されると思いますが、そこで採血を担当しているのは、多くの場合、看護師または臨床検査技師です。最近では採血室が検査科の管理下にあって、臨床検査技師が主に担当している病院も多いようです。もちろん看護師だけで行っているところもあります。また、場合によっては医師が採血を行うこともあります。
採血する理由
どうして採血が必要になるのでしょう。
それは血液から身体の多くの情報が得られるからです。
たとえば「発熱」で病院を受診したとしましょう。医師は、問診をし、聴診したり喉をみたりしながら診察をします。発熱の程度やその他の症状によって、採血はせずに、薬が処方されて「診察終了」となる場合も多いと思います。
しかし、身体の状態をさらに詳しく知りたいとなった場合に、「採血」という選択肢が出てくると考えられます。血液の検査によって、発熱の要因、発熱による身体の消耗の程度、また、腎臓や肝臓など重要な臓器へのダメージの度合いなどを知ることができるからです。
採血でわかること
検査の詳細な内容については、別の機会にとりあげたいと思っていますが、簡単にいうと、血液は身体のさまざまな状態を教えてくれます。
血液を使った検査の項目数は数千種類あるといわれています。一般的に実施される項目でも2千項目程度、その中で、「診察前検査」として至急報告が可能な項目数は、病院の規模などによって変わると思いますが、およそ100項目程度でしょうか。
いずれにしても、このような多数の項目の検査が、例外もありますが、多くの場合10mlから20ml程度の採血で検査実施可能になっています。
「診察前検査」というのは、採血後30分から60分、または90分程度で報告しなければなりません。したがって、検査可能なすべての項目を対象としていない場合が多いかもしれません。検査開始から報告までの時間は、検査項目によって異なります。極端に言えば、10分程度で報告できる検査もあれば、数時間を要するものもあります。また、病院での検査は、すべての検査をその病院内の検査室で実施している場合と、一部の項目を外部の検査機関に委託している場合とがあります。外部に委託している場合、検査結果の報告は、早くても翌日、多くは2日から4日程度、長いものでは1か月以上かかるものもあります。したがって、1回の採血による検査結果が、すべて診察前に報告されるとは限らないのですが、診察前検査の検査項目は、比較的一般的な項目であり、主要な検査項目といえます。
多くの項目の中から、どの項目を選択するかによって得られる情報は変わってきますが、一般的には、貧血や栄養の状態、炎症の有無や程度、心臓、肝臓、腎臓など各臓器の状況、生活習慣病や糖尿病などのリスクなどがわかります。
採血は必要だ!
もちろん、必ずしも血液の結果だけで診断が確定するわけではありません。
でも血液は診断や治療につながる重要な情報を教えてくれるのです。
ですから、嫌いでも、好きでなくても、やはり必要といわれた場合には、「採血」は受けた方が良いということになるのです。

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