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採血のこと・・・その5

採血と検査
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溶血~再採血の理由 2~

溶血したから再採血と言われたけど・・・⁈

再採血で呼ばれました。「溶血してしまったからもう一度採らせてください」と。
「「溶血」って何?なんでもう一回採らなければならないのかな・・・」と思ったことはありませんか。
今回は再採血の原因のひとつ「溶血」について考えます。

「溶血」とは血液中の赤血球が壊れた状態です。
では、赤血球が壊れるとどうなるか。まず、血清または血漿の色(外観)がかわります。通常は黄色っぽい色ですが赤色になります。これは赤血球内の赤色色素であるヘモグロビンが漏れ出てくるためです。出てきたヘモグロビンの量によって、赤色の程度が変わってきます。
赤血球から出てくるのは色素だけではありません。いろいろな成分が漏れ出てきます。それによって血清中の物質の量が変わる、つまり検査結果が変わってきます
検査結果のへの影響は、それぞれの成分が赤血球から漏れ出てくることによって、値が高くなる場合と低くなる場合があります。単純に量が増えるのであれば値は高くなりますが、血清中の成分を分解するような作用がある成分(たとえば「たんぱく分解酵素」と呼ばれるようなもの)が漏れ出ると、分解される成分は低くなることになります。
いずれにしても検査結果としては正しい値ではありません

赤血球が壊れて中の成分が漏れ出る時、その「漏れ出る量」は、当然「赤血球の壊れる程度」によって変わってきますしかし、どの程度壊れたらどのくらい測定値に影響がでるか、ということを客観的に示すことは意外と難しいのです。たとえば、「赤血球がこの壊れ方だとこの項目の測定値は何倍になる」といったように示すことができれば、検査結果を判断するときの参考になり良いと思うのですが、これがなかなか難しいのです。
しかしそうはいっても、溶血の強弱と測定値への影響の大きさは、ある程度は比例すると考えられています。そして溶血の度合いは、漏れ出たヘモグロビン量によって示すことが多いと思います。つまり赤色の濃さで溶血の度合いを表現し、そこから、測定値への影響が大きいのか小さいのか推測することになります(・・・経験的には例外もあると考えていますが・・・)。
溶血の程度は通常「1+、2+、3+、4+」のように表現されることが多いと思います。「溶血4+」なら強溶血で測定値への影響は大きいと判断することになります。

では、なぜ溶血が起きるのでしょう。
多くの場合、採血の時の要因があげられます。
代表的な要因をいくつかあげてみますが、同じ状況でも、だれもが必ず同様に溶血するわけではない、ということも知っている必要があると思います。

  • 消毒用のアルコールが乾かないうちに採血した
  • 細い針を使用した
  • 真空採血管に採血する際、規定量より少ない採血量だった(真空採血管の内部は規定量の血液が入るよう陰圧になっているため、規定量の血液が入らないと余分な圧が血液にかかることになります。)
  • シリンジ(注射器)採血で複数の採血管に分注する際、圧をかけた
  • 採血後の転倒混和の操作が泡立つほど激しかった

採血の時、採血者が注意すれば防ぐことができる「溶血」ももちろんあります。したがって、採血者は「溶血させない手技」を学んで採血に臨んでいます。
しかし、同じように採血しても、溶血する場合と溶血しない場合があるのも事実です。
また、稀には患者さまの疾患に起因する場合もあります。

「溶血」は測定値に少なからず影響をあたえます。したがって、「溶血」が判明すると再採血を考えることになります。
「検体凝固」と同様に「溶血は必ず再採血」と決めている病院もあると思います。正しい結果を報告するためには必要な判断といえます。
しかし、再採血による患者様の負担等を考えた時、溶血のレベルによっては再採血をせず「参考値」として報告している病院もあると思います。たとえば「「溶血1+」であれば再採血はせず、それ以上の溶血の場は再採血をする」という感じです。
あるいは、医師に判断を仰ぐ場合もあるでしょう。結果を待って診療の場合、検査結果が遅延することは診療の遅延に直結します。医師の判断が「今日、この項目は参考値で良い」ということであれば、「溶血のため参考値」として報告することになります。
いずれにしても臨床検査技師は、「検体がどういう状況で何にどの程度の影響がでる可能性がある」という的確な説明ができる必要があると考えています。

再採血は本当に嫌なものです。2回も痛い思いをしたうえ、診察までの待ち時間も延びることになります。
しかし、採血者の技量だけが原因なのではなく、また、さまざまな状況を考慮した上での「再採血のお願い」となっていることも、知っていていただけたらと思います。

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